| 2006/05/30(火) 20:53 | 自転車 |
| 自転車レースにおける『不文律』とは…? |
てのは間違いじゃあない。
スポーツなんてものはその最たる例で、強くもナイのに勝つ事は困難だし、
そして世間はそれを許さないだろうし。
自転車レースって、勝ち負けの結果だけでなく、
その勝ち方やレースの道中の所作などに対し、とても粋が存在するスポーツだと思う。
とは言っても、他のスポーツでも意外と色々あるでしょう、不文律。
(大変お恥ずかしい話だが、つい1年くらい前まで『ふもんりつ』って読んでました…
いつそう覚えてしまったのか…あぁ恥ずかしい…)
例えばサッカー。
・フィールド内で選手が倒れてたら、ボールを出して、再開後にちゃんとボールを返すアレ。
・相当微妙な判定でのPKの場合、出来るだけ相手にもPKを与える。
・キーパーが怪我した場合、治るまで待つ。 (ん?これはルールか?)
例えば野球。
・大量リードの際、カウント0-3では打たない。
・同じく大量リードの際、盗塁はしない。
・内角を抉る球(或いはデッドボール)を貰ったら、必ずお返しを一発投げる。
例えばハンドボール。
・試合1発目のシュートは、なるべく至近距離からキーパーの顔を狙う。
(…俺だけか?)
ぱっと浮かぶだけでも、こんなような暗黙の了解がある。
では自転車レースでの不文律とは?
これが一見理解し難いモノもあるかも知れないが、
実際に自転車に乗ったり、レースに出てみると、とっても理解できる。
例えば…
・少数での逃げ集団を形成した場合、皆で協調して先頭交代を公平に行なう。
もし引かないヤツがいたら(これがまずいないのだが)、そいつには勝つ権利も更に逃げを打つ権利もナイ。
・2〜3人での逃げは、半分くらいは『スポンサー様』の意向。
逃げてる間のテレビでの露出拡大を狙っている。
・(山岳ゴールでよくあるケースだが)
総合優勝を狙ってるヤツと、ステージ優勝を狙ってるヤツが2人でもし逃げた場合、
そのステージ優勝を狙ってるヤツが総合2位とか3位とかでない限り、総合狙いのヤツは勝ちを譲る。
その譲るにも、なるべくわかりにくく。なるべく勝者のプライドを傷つけないように。
・(これはツールでだが)フランス革命記念日は、フランス人を逃がし、
そのまま勝たしてしまう。(ん?去年だけか?)
・そのステージの地元出身選手が居る場合も、基本的に逃がす。
その彼らの家族等とのレセプションを終わらせるまで、集団は止まって待つ。
モチロンその間、逃げるβακαはいない。
ナゼそんなものが必要なのか?
(最後の2つは、自転車レースならではの『粋』だと思うが。自分はその『粋』も好き)
そもそも自転車は、前に人がいる後ろで走ると、もの凄く楽である。
F1とか自動車レースでいう『スリップストリーム』。『ドラフティング』とも言うが、要は『風除け』になる。
これがやってみればわかるが、20km/h以上で走ると、その差は歴然。
一番前が100%受ける風は、2番目の人は60%くらいで済み、さらにその後ろは50%程度になる、と言われている。
だからなるべく集団で徒党を組んで走る。
あとはマラソンで言う『ラビット』のような役割。
独りぽっちで走ると、風をモロに受けるのも辛いが、ペースを作るのが非常に難しい。
『頑張って前を追わなきゃ!』と思っても、なかなか(ペダルを)踏み込めないもの。
そこで、チームメイトがペースメーカー(モチロン風除けの意味もあり)となり、
ぐいぐいと前まで連れてってあげたりする。
小規模の逃げ集団の場合、チームの垣根を超して、基本的に皆協調体制を取る。
『集団に追いつかれぬよう、全員で逃げよう!』と。
この場合、たいがい(100%だな)集団の方が速い。
当たり前だ、楽してる人間が圧倒的に多いから、全体としてペースを上げるのは容易。
で、総合優勝の人は何故ステージ勝利を譲るのか?という話。
これは単純で…
『総合優勝は総合優勝』
なのだ。
つまり、
・ステージ10勝してのダントツの総合優勝
だろうと、
・2位と2秒差のステージ無勝の総合優勝
と、評価等にはさして差がナイ。
むしろ総合優勝者は、ステージの勝ちが何勝であれ、
今後のレース人生においてのキャリア等にも、あんまり関係がナイ。
総合優勝をした事のナイ大多数の選手は、
『ステージ○勝』
や
『ジロで○勝』 『ツールで○勝』
といったキャリアが大変重要。だから譲るべき。
ちなみにその総合優勝者の『振る舞い』も、段取りがある(と自分は思ってる)。
なるべくあからさまに譲る事はせず、でも見る人には
『あれ?勝負避けた?』
くらいで足を緩めて勝ちを譲るも、その後の記者会見等のオフィシャルな発言として、
『俺は勝ちを譲るような事はしない。相手に失礼だろ。いつでも全力さ』
的なコメントを残しつつ、その後のステージでも、さら〜っと譲っていく。
はっきり言ってその時点で、もう勝たなくても強い事は、見てる方も他の選手達も十二分に認めている。
だからこそ、そのプロトコールを遂行する寛大さを求められている(と思う)。
にも関わらず、今年のジロで、バッソは最後の一つをしなかった。
その一連のせいで自分は、バッソを更に嫌いになった。
1日180km〜240km、3週間で3,600kmとかを、平均時速40km/h以上で走るレース、
とてもじゃないけど独りでは走れない。
9人前後のチームメイトの存在はモチロンの事、200人近い全選手との協調がなければ、絶対に走り切れない。
だから上のような暗黙の了解が存在する。
良くも悪くも全選手の協調と慣れ合い、利用し利用されて、『粋』の中でステージをこなしてくのである。
…しかし、UCIポイントも勘案すると、ステージも勝ちにいかなきゃいけないのかねぇ?
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